第３分科会 教育研究の発展を支える新たな情報環境を考える
運営委員 青山 敦史（東洋大学）
小野 浩樹（日本大学）
中芝 義之（関西大学）
東川 昌之（立正大学）
１．分科会のねらい
教育研究ニーズの多様化、コスト削減、災害対策、省エネルギー、セキュリティ...。これら複合する諸課題に応えるために情報基盤の再構築に取り組む大学が増えている。例えば、クラウドによってトータルコストを削減し、運用業務の効率化と利用者サービスの向上を追求する取組。あるいは、サーバの仮想化によって各研究室に散在するサーバを集約し、研究ニーズに迅速に応えるとともに重要な情報資産を守る取組。あるいは、無償のオープンソースを利用して教育の質的転換を促す学修管理システムを構築する取組などである。
本分科会では、情報基盤構築の先駆事例に学び、厳しい財政状況の下で教育研究の発展を支える情報環境とはどうあるべきか、その未来像を考える。そして、これからの情報システム部門の職員に求められる役割や能力とは何かを探求する。
２．討議テーマ
グループ編成し、２つの事例から下記のテーマについて、各々討議を行い、メリット、デメリットをはじめ、経緯や運営に対する取り組みなど話し合われた。
（１）事例発表
� 峇慇沼膤惷軌藐Φ罐轡好謄爐砲弔い董船�ラウド化への対応〜」 (関西大学・中芝氏)
�◆嵜Π�像を意識した事務業務システム基盤の構築」 (東洋大学・青山氏)
（２）討議テーマ
�‐霾鶸超�の再構築(クラウドや仮想化、オープンソースなどを導入する意義と課題)
�⊂霾鷸饂困諒欷�(サイバー攻撃への対応、情報漏洩対策、災害対策等)
��これからの情報システム部門の役割と求められる職員像
３．獲得目標
（１）教育研究の発展を支える新たな情報基盤の技術的動向、利点と課題を知る
（２）業務システムの構築、運用を担う職員の未来像について考えるきっかけを得る
４．概要
本分科会は、２３名の参加者を得て、２グループに分けて、事前研修、集合研修（事例及び討議テーマ）、事後研修の構成で行った。
（１）事前研修
事前に自己紹介を兼ねて、主たる業務、業務上抱えているICT的課題等をレポートにまとめメーリングリスト上に提出した。互いにレポートを閲覧し、課題共有を図った。
（２）集合研修
�ー�己紹介（午前）
分科会の趣旨説明及びグループ毎に自己紹介を行った。
�∋�例発表（午前）
下記の２つの事例発表を行い質疑、応答を行った。
・関西大学 中芝委員より
「関西西大学教育研究システムについて〜クラウド化への対応〜」
導入するまでのプロセスや重要視した点、また検証方法など、実情に沿った内容を紹介した。
・東洋大学 青山委員より
「職員像を意識した事務業務システム基盤の構築」
情報システム部門の職員像と言う視点で、仮想サーバに各システムを集約した目的、意味、経緯、新たな課題などについて紹介した。
��グループ討議（午後）
事例発表の内容と絡め、設定した討議テーマについて、各々のグループで自大学での取り組みや先進的な企業などの取り組み、苦労した事例などを交えて意見交換を行った。
�ぅ哀襦璽彖蠍瀏�表（午後）
グループ毎に話し合われた内容等について、１５分程度相互に発表を行い、質疑応答を行った。
（３）事後研修
メーリングリストを利用し、各自自己評価シート提出していただいた。また、グループ発表の内容について総括したレポートをグループ毎に提出していただいた。
５．まとめ
従来と異なり、１日のみの研修期間であったが、事前研修及び事後研修を取り入れたことにより、比較的長い意見交換の場が提供できた。
事後研修で提出していただいた自己評価シートやグループ毎の総括したレポートから読み解くと、日頃の業務から離れ、他大学の事例やまた自学の事例など比較検討することにより、客観的に大学の情報システム部門としての応えられる情報環境の在り方など、個々の考え方の間口が広がったのではないかと思われる。
情報システム部門は、日進月歩の情報環境の中で、大学の理念をはじめ、教育研究方針や経営方針などあらゆる条件の中で、学内の情報基盤を整備しなくてはならない。本分科会の趣旨である情報システム部門の職員に求められる新たな役割や能力など、再考するきっかけには十分に達成したと考える。