基礎講習Dグループレポート
第1グループ 寸評【建学の理念を具現化した学生を育てるための教職員の在り方~青い実を赤い実に~】
大学の教育活動の総体を社会との関連性から俯瞰し、各大学の建学の理念を具現化した学生を育てて輩出することこそが大学の使命であるとの確認がなされ、大学教育の根幹に関わる命題を鮮やかに図示した。その実現のために、まずは教職員一人ひとりが自大学についてよく知らなければならない。どのような学生を育てるのか、同じ目的・目標を共有することで個々人の意識が高まり、組織全体が活性化される。その波及効果は当然のことながら学生にも及ぶ。そして、学生は大学の広告塔となって巣立ち、大学は社会からの審判を受け、改善につなげる。このPDCAサイクルは非常に重要だ。今回の研修で得た学びの成果が、各校の現場において存分に発揮されることを期待する。
第2グループ 寸評【自立~社会で求められる人材輩出のために~】
各々の大学の特性や多様な職務経験をふまえた上で、近年の社会情勢に照らし合わせながら、創造技法を用いて学生と大学職員の現状を丹念に検証した。その結果、大学に課せられたもっとも重要な使命は「学生の自立心を育てること」であると結論づけ、学生が自ら考え行動できるように導くことが職員の役割であるとした。顧客主義が先行して、ややもすればサービス過多に陥りがちな職員の姿勢を戒め、職員自身も自立する必要があるとの視点は非常に斬新で、多くの示唆に富んでいる。
学生を教育するのは教員による授業だけではない。大前提となるカリキュラム作成においては職員が積極的に参画すべきであるとの提案もなされ、充実した討議内容となった。
第3グループ 寸評【目指せ!!学生満足度120%】
中退率・留年率の上昇、愛校心の低下、不本意入学者の増加といった多くの大学が抱える諸問題について、様々な大学で取り組まれている好事例をつぶさに挙げることによって具体的な解決策を導き出した。それらを大きく「教育」「制度」「施設」の三つに分類し、学生の満足度を向上させることを第一義とする。学生ニーズの把握を始点としながらも、単純に迎合するのではなく、社会の枠組みのなかで大学を位置づけようとする姿勢は評価できる。
合わせて、学生・教員・職員間の情報共有はもちろん、社会・大学間の情報共有も重要であることが一貫して示されており、初日の講義内容がじゅうぶんに活かされたグループ討議であったと言える。
第4グループ 寸評【一生付き合える大学を創る理想の職員とは】
エンロールメント・マネジメントの視点から、学生、潜在入学者、保護者、企業、地域社会といったあらゆるステークホルダーに対して深く関わり、大学全体を機能させる潤滑油の役割を担う人材こそが大学職員であるとの結論を見出した。討議の後半、「これから10年後20年後を迎えたとき、(今回の討議をまとめた)プレゼンテーションを思い出すことによって初心に立ち返ることができるよう、いつまでも大学職員としての気概を持ち続けたい。」と語ったメンバーの発言を大変嬉しく思う。
残念ながら、学生と一生付き合える大学を創るための具体的な方策はこの場では提示されなかったが、各現場では自大学の事情に合わせた実際的な取り組みが展開されることを期待したい。