基礎講習Bグループレポート

全体コメント

グループ討議は、まず日常的に感じている問題意識を相互共有するためのフリーディスカッションからスタートした。全体会でのイントロダクションに触発され、参加者は自ら主体的に議論の活性化に貢献しようとする意欲に溢れ、すべてのグループで豊かな学びのコミュニティ(場)が形成されていった。そして、自由で創発的な議論の結果、導き出されたICT活用モデルは独創的かつ斬新なアイディアに富み、かつ「PDCA」のサイクルでこれを継続的に発展、成長させようとする視点を備えたものであった。さらに、これをグループ間で相互評価し、自グループの討議内容と結論を省察する過程を経て、オンライン上での事後研修につなげた。この一連の流れによって提出された最終成果物は、以下のようにいずれも問題の本質を的確に捉え、これをICTの有効活用によって解決しようとする戦略的、実践的な内容となっている。

第1グループ 寸評【システムを活用した教職員と学生とのつながりの強化について】

学生満足度向上を阻害する要因を「情報共有とコミュニケーション」という切り口で構造的に分析し、ここから導き出された「つながり」や「絆」というキーワードによって、学生と教職員の精神的な距離感を縮めるための具体的方策を検討した。一方、ICTだけでは実現できない「信頼感のあるつながり」の重要性を再認識し、個々の教職員の資質向上や組織的な連携、協働といった視点からも課題解決の方向性(「RC:Real Communication」)を探った。その結果、ICTと「RC」を一体化し、その相乗的な効果によってきめ細かな学生支援を実質化するという独創的なモデルが創出された。

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第2グループ 寸評【『履修革命』~学生の“学ぶ”モチベーション向上の為に~“科目の見える化”を実現する】

「学生の大学離れ」という課題に着目し、「“学ぶ”モチベーションの向上」によって学生を大学に回帰させるという視点からICT活用モデルを構想した。具体的には、学生の履修計画を支援するため、カリキュラム体系や授業科目の内容、進路設計との関連性などを「見える化」するもので、「MIMA Search」によるビジュアライズや科目紹介プロモーションビデオでの先輩の語り掛けなど、学生視点からの「見える化」戦略を提起した。さらに、「PDCA」のフレームワークによって取組の評価、改善を志向する視点はファカルティディベロップメントにも配慮されており、優れた実践的モデルの基本要件を備えたものであった。

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プレゼンテーション

第3グループ 寸評【既存システム連携強化システムの方策】

高額のICT投資が教育研究、学生支援に活かされていないという課題認識にもとづき、「既存システムを連携強化する仕組み」について検討を行った。まず、現状の問題を「システム(仕様や運用面での制約)」、「人(意識や価値観、スキル)」、「組織(部署間の連携)」という観点から丁寧に分析し、課題解決のポイントを明確化した。その上で「教員」、「職員」、「学生」それぞれについて具体的な提案を行うとともに「PDCA」サイクルによる教育研究支援ならびに学生支援体制の改善に言及した。このように論理的、構造的な検討プロセスから創出されたモデルは説得力に富み、本質的な問題解決につながる秀逸な内容となった。

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第4グループ 寸評【社会人学生受入の為の授業支援システムの構築について】

18歳人口の減少に対応した学生確保の戦略として、ICTを活用した社会人(就労者)学生受入れ環境の整備を検討した。現状分析にあたっては社会人のニーズを洗い出し、それにもかかわらず社会人学生が少ない要因を「大学側」と「社会人側」それぞれの立場で整理しながら問題の所在を明らかした。そして、双方の問題をともに解決することが必要不可欠という認識にもとづき、ICT活用や就学制度面など広範な視点から問題解決の方向性を見出した。その結果、例えば「事前出席確認申請システム」といった学習フォローアップ機能を盛り込むなど、社会人の学習条件に配慮した精緻なICT活用モデルが提案された。

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第5グループ 寸評【コミュニケーションツールの活用と課題】

ポータルサイトや電子メールなどのコミュニケーションツールが必ずしも効果的に利用されていないという課題認識にもとづき、「コミュニケーションとは何か」という本質的な議論を経て現状の問題を分析した。その際、フレームワーク思考を駆使した分析手法を採用することによって解決すべき課題を構造的に把握でき、戦略の検討にスムースに移行することができた。導き出された結論は、コミュニケーションの主体(学生、教職員、同窓生、父母、受験生等)の特性やニーズに応じたシステムの導入と支援策に関する提案であり、コミュニケーションに求められる人間力の大切さにも言及した優れた内容に仕上がった。

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第6グループ 寸評【女子大生増加プロジェクト(JZPの取組み)】

参加者が勤務する某大学をターゲットに「女子学生を増やすにはどうしたらよいか」というテーマでICT活用戦略を検討した。実在の大学を対象として、その大学が直面する問題を深く洞察しながら現実感覚を持って課題解決の方略を導き出すという討議スタイルには実践的な学びの効果が認められた。また、ブレーンストーミングによる発散型思考を十分に展開した上で検討テーマを絞り込み、アイディアをまとめる収束型思考に移行するというアプローチがしっかりと機能しており、「先端技術を利用した女子学生の満足度向上の施策」と「その成果を外部発信する広報」が相互に連携した戦略的な提案に結実した。

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