基礎講習Eグループレポート
全体コメント
3件の講義を踏まえて、グループ毎に大学の抱える課題解決についてテーマを設定し、討議と成果発表をしていただいたが、これは、現場における課題解決のシミュレーションといえる。問題解決のプロセスやアプローチ、所属や担当の異なるメンバーを集めた会議のコーディネートなど、大学職員に求められる職員力を、日常の業務から離れて合宿研修という形で集中的に体験することにより、身につけていただくことをねらいとしている。
研修の成果発表では、グループによりテーマの広がりや課題の深堀りにおいて差が見られたが、問題解決のプロセスやアプローチについては共通に経験されており、各大学、職場の抱える課題解決に貢献できる成果を持ち帰られたものと確信する。
第1グループ 寸評【情報技術を使った学生支援】
「修学意欲の低い学生の増加と、それに起因する休学・退学の増加」、「経済状況悪化に伴う就職内定率の低下、学費未納者の増加」を課題として取り上げ、「ポータルサイトの活用」により、欠席の多い学生をフォローする、情報発信により学生、教員、職員の三者間のコミュニケーション活性化する、個人の条件にあった奨学金や就職活動情報を提供する等、学生サービスの向上を含めた具体的な提案が行われた。
入職1~2年目の参加者が多いこのグループは、学生時代に立ち戻り、学生の視点からサービスを見直すという、持ち味を活かした工夫も取り入れられている。
第2グループ 寸評【蓄積された情報を活かす】
「学内の情報共有の改善」を課題として取り上げ、ファイルサーバを単なるデータの保管庫とするのではなく、「情報検索システム」を導入することにより情報の有効活用と、部門間の情報共有を促進することが提案された。グループ討議では提案したシステムが抱える問題点についての考察と、それに対する解決策も検討され、単なる提案に終わらず一歩踏み込んだ議論が交わされている。
総務、人事、経理、教務、情報と多方面の人材で構成されたグループであったが、部門共通に扱えるテーマを設定し、多角的視点からの討議が行われことも、参加者にとって有意義であったと考える。
第3グループ 寸評【魅力ある大学づくり】
「充実した学生生活」、「大学アピール」、「職員力の向上」という3つのサブテーマを設定し、一部サブグループに分かれての作業が行われた。
「充実した学生生活」ではモラルの低下、多様性、成績不良者への対応等を取り上げ、個人用掲示板により孤立感を防ぎ、意見・要望を吸い上げることによる対応が提案された。
「大学アピール」では、少子化、グローバル化を背景に、学生募集や広報活動への情報技術の活用、留学生や聴覚障害者を対象とした字幕付授業ビデオが取り上げられた。
「職員力の向上」では、事務作業の多さ、情報共有、他部署との交流について、参加者の所属における問題点を書き出して、その解決策について討議が行われた。
第4グループ 寸評【ポータルサイトを用いた学生支援】
現状のポータルサイトが提供している機能を洗い出し、多くが「情報発信型」であることに着目し、これを「学生参加型」とすることにより、大学と学生との距離を縮めて大学全体の活性化につなげることについて討議が交わされた。プラスする機能として、カウンセリング相談受付、授業のオンデマンド配信、証明証発行予約、学生活動の届け出、SNS(OB/OG参加型コミュニティー)、交通機関情報(学内バス)、食堂の空席情報について、その効果を含めて報告された。
発表内容やレポートから、現状の分析から解決に向けての各ステップにおいて、具体的で深堀りされた論議が交わされたことが察せられる。
第5グループ 寸評【新しい授業スタイルの提案 ~ユニバーサル化を迎えるにあたって~】
ユニバーサル化、グローバル化を背景に、大学として取り組む課題として学士力を補償するための授業のあり方を取り上げ、「授業のオンデマンド配信」を導入することにより、学力不足の学生や欠席者に自習の機会を提供する、字幕付コンテンツにより日本語能力の劣る留学生の理解度向上を図る等の対策が提案された。
シラバスとの連携による履修科目選択、教員による授業の相互改善、高校生に対する広報ツールとしての利用、国内外の大学と連携への活用等、今後の活用についても提案された。
第6グループ 寸評【蓄積されたデータを学生サポートに活かす】
無気力学生や退学者が増加する傾向のなかで、これらの学生のサポートにおいて教職員、職員同士の協働が必ずしもうまく行えてはないという現実に着目して、情報技術を活用した解決策について討議された。サポートを行う必要のある学生の定義、出席状況、履修・単位取得状況、図書館等の施設利用状況等、各部署の保有するデータを集約して分析することによりサポートが必要な学生の早期発見、学生カルテ情報を教職員で共有することにより、教職一体となったサポート体制の構築が提案された。