基礎講習Aグループレポート
第1グループ 寸評【情報を共有・一元化した職員ポータルサイトの構築〜サービスの質の向上と大学人としてのレベルアップを目指して〜】
学生サービスの質向上や学内外からの多様な要請に応えるためには職員一人ひとりが幅広い知識を備えるとともに、自らの中に教育者としてのマインドを獲得しなければならない。本グループでは、この課題認識にもとづき「大学人」としての資質向上を図る実践コミュニティの形成を目指した。そして、これを推進するICTツールとして業務情報を共有・一元化するポータルサイトを提案した。あわせて、これを実効化する教職員の行動規範について検討を行った。 システム機能の具体化にあたっては、現行の業務に内在する課題を丁寧にあぶり出す作業を経て、仕様レベルの外部設計にまで踏み込むことができた。さらに、システムを有効活用するために教職員の意識変革を促す方略や、その実効性を検証する評価方法について実践的なモデルを導き出すことができた。メンバーのみなさまが各大学においてこの議論の本質を踏まえ、現状分析や組織活性化のための諸活動に力を発揮されることを期待する。
第2グループ 寸評【学生視点に立ったシステム活用と業務の見直し~情報発信からのキャッチボール~】
学生支援や教育支援を目的として導入した各種情報ツールが有効活用されず、所期の目標が達成されないという問題に着目した。そして、学生の立場に立ってその根本原因を探求し、課題解決のための具体的な行動計画を策定した。 まず、原因探求にあたっては、情報の質、運用スタイル、利用者スキル、システム仕様という4つの観点から現状の問題を可視化する作業を試みた。その結果、解決すべき課題をこれらの観点から構造的に把握することができ、効率性や経済性にも配慮した改善施策に結びついた。さらに、アクションプランの立案にあたっては、中長期的に解決を目指すべき課題と速やかな解決が必要な課題とに峻別し、それぞれの評価方法を具体化することによって実現性と有効性を高めることができた。各メンバーは一貫して「学生視点に立って教職員の意識変革を促す」という議論の方向性を共有し、これによって最終提案は教職員と学生との豊かな情報コミュニケーションを促す実践的な戦略モデルに結実することとなった。
第3グループ 寸評【大学の学修環境向上に向けた情報活用と意識改革】
「社会が求める人材を大学側が育成できていない」という課題認識を背景に、学びの環境を豊かにするための組織的な情報活用モデルを検討した。このモデルの基盤には「学生の満足度の向上」をキーワードに達成目標や評価基準を盛り込み、PDCAのサイクルに従って部局や職種を越えた「協働」を推進することを基本方針に掲げた。 討議はまず、ICTを活用した学習環境を構築するには「人と情報システムの力を融合させる」ための教職員の意識変革が不可欠である、という点で共通認識を形成することから始まった。その上で、各メンバーは社会からの人材育成の要請に向き合い、日常業務で感じる問題点を出し合いながら問題解決へ向けた仮説を構築した。そして、この仮説にもとづく戦略モデルを構想し、その有効性を検証するための評価システムを具体化した。この科学的なアプローチによって、最終結論は大学が抱える本質的な課題に踏み込んだ優れた提案となった。
第4グループ 寸評【時代の変化に伴う学生へのサポート組織体制】
グループ名を「Next Generation University(NGU)」と命名し、大学を取り巻く環境の変化に的確に応える仮想大学「NGU」における理想的な組織戦略を構想した。 まず、大学が抱える諸問題を分析するためにマトリクス分析の手法を用い、大学生の特性を質的観点とその重要性から構造的に分類し、グループ討議のターゲットを明確にした。その上で、理想の大学「NGU」のミッションを掲げ、その遂行を担う組織体制のあり方を検討した。具体的には、教職協働による学生支援プロジェクトチームを設置し、チーム内での情報共有や問題意識の活性化を図るマネジメントモデルを提案した。ここには卒業生や社会からの評価を取り入れ、社会的ニーズの変化に対応した改善システムが機能するようになっている。 高度情報化社会や知識基盤社会の到来に伴い、大学に対する社会からの人材育成の要請は常に変化している。そのため、適切な問題分析アプローチを採用することは重要であり、メンバーのみなさまには本研修で体験した課題発見プロセスを自大学の業務改善で活用されることを期待する。
第5グループ 寸評【学内サービス改善のための組織間の協力~PDCAサイクルを活用した効果的な情報共有の方法とその検証】
建学の理念や教育目標の達成を阻害する主要な要因として「組織の壁」に注目し、この問題を解決するための組織的な情報活用モデルを検討した。 まず、「組織の壁」とは何かという議論を経て、その本質が「意識の壁」であることが浮かび上がった。そこで、具体的な情報活用戦略として情報基盤の整備と教職員の意識改革を並行して推進するアプローチ、すなわち教職員間の意識の壁を壊す環境づくりというアプローチを提起した。あわせて、PDCAサイクルの重要性についてメンバー間で認識を共有し、多様な観点での評価指標と評価方法を組み合わせながら、評価改善活動の実質化を図る具体的モデルを明らかにした。 環境の変化が著しい今、戦略の目的を明確にし、当面の目標を定めて実践してみる。その結果を評価してさらなる改善を図る、あるいは速やかに撤退する、こういった考え方は、組織戦略の重要なアプローチになるであろう。メンバーのみなさまには、グループ討議での議論を踏まえ、PDCAサイクルを活用した多様な実践にチャレンジされることを期待する。